bull shit

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再度矢の射程から外れると隆の位置は三共倉庫の事務所ビル併設のA棟倉庫から 別棟のB棟倉庫に到達しそうだった、B棟倉庫は間口こそA棟の半分ほどだったが こちらは主に冷蔵の荷を扱う倉庫でホームの連なるA棟と違いバースと言う トラックが1台1台接岸出来るように仕切られていた そのバースのシャッターには黄色文字で番号がふられており合計8バースまで あった、そして4と書かれたバースの前を通過した時だった 隆の後方、B棟倉庫の端8バースの更に先の角から何かが現れた 本日、夜間帯のB棟の入庫出庫予定はなく野外灯は点灯しておらず暗闇で リフトのバック灯で薄らぼんやりであったが何かがいた それは明らかに前方から迫り来る人型二足歩行の生物とは違い、現れてる部分 から続く部位がまだB棟の影にあり、いわば巨大なトカゲのように感じられた 隆はリフトを急停車させる’前門の虎後門の狼’と言うやつだった ここで思い出す、そうリフトのマストには仮称『天使』が引っかかっていた 死んでいるのかはたまた、とりあえず今は安全なのか危険な存在かは分からないが ’前門の虎後門の狼頭上の龍’にはならない事を祈るだけ だがこのままでは虎か狼の確実に餌食だった、隆は焦った、泣き出したい程に 焦った、焦れば焦る程に何も浮かばない浮かばないというか何も思考していない 頭の中は焦りで満たされている、手は汗ばみ体は震え今にも失禁しそうだった 普通、映画やドラマならここでヒーローの登場だろう、しかしそれはエンドロール で最低でも5列目あたりの者の頭上に現れるもので 隆のような’撮影協力『~の皆さん』’の頭上には現れる事は決して無い 『何にも期待するな、自分の手で掴みとれ』 突如、隆の脳裏にこの言葉が浮かんだ、それは著名な有名人が語った 自己啓発の為の金言の様に心響く言葉であったが実際は50も後半で 独身、趣味はアイドルの追っかけとアニメ鑑賞、そりゃ独身だろうよと 言いたくなるような飯塚さんの言葉だった 多分、どこからかの受け売りだろうがそもそもニュースでヒーローが現れた などという報道を見た事は一度としてない、ならば ーーーーあ゛っーーーーー!!!!ーーーー 隆は突然叫んだ、30数年生きてきた中で最大に勇気を振り絞りリフトのギアを フォワードに入れると逃げてきたA棟方向に向かった ブロロロとリフトは40キロ程だがフルスロットルで疾走した 前方にいた連中は一度射程から離れた獲物が再度向かってきたので再び弓をひく シュンシュンと矢音が空を切り、カンカンとリフトに矢が当たる バースの1という文字が見えた様な気がした、前方の動物で視界は相変わらずだが 3mもの相手だその隙間から視界に割り込んでくる、怪物共はこのリフトを 見るのは初めてだったのだろうか、そしてその先程まで逃げてた物が急に向かって 来るのだ矢を射っていた連中は怖気付いて弓を引くのをやめ横に逃げた、 2ついた3mの怪物の右側のヤツに突っ込む、激しい衝突音が響くと同時に 咆哮が上がり、その怪物は吹っ飛ばされ余裕の歩みで後方から来る連中を ボーリングのピンの様になぎ倒した ここで隆は器用にバックギアとローギア同時に入れるとハンドルを切った 隣の仲間が吹っ飛ばされ一瞬動きが止まった左の怪物が我に返り何かを振り下ろす しかしリフトの動きが一瞬早く空を切る、ドンドンッ、バックするリフトが 横に逃げた小さな怪物をカウンター部分ではね飛ばす ギヤッ!何か断末魔のような叫び声が響くと同時にリフトが柔らかいものに 乗り上げた感触が伝わってくるザッーザッーと何かを引き摺っているようだが 構わず隆はリフトを進めた そして隆の乗るリフトはA棟とB棟の間にある倉庫内にリフトを乗り入れる為の スロープを駆け上がった、前方にいた怪物共は未知の物から攻撃を受け その場で混乱している様だった
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