我ら無敵のヒーロー戦隊!

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「え、一番最初に考えるべき問題それ?」 「大事なことじゃないか!ヒーロー戦隊のリーダーって言ったらレッドだろう!でもって女の子に一番モテるのもレッドじゃないか、俺は絶対譲らないぞ!」 「えええええ」  確かに、戦隊ヒーローって色分けされているし、よく見たらブレスレットもそれぞれ“ブルー用”とか“レッド用”とか書いてあるけども(カッコ悪いからせめて英語で書けよと言いたい)。レッドになる人間が誰かって、それそんなに大事な話なのだろうか。 「確かに誰がレッドになるかは大事だが、他に議論すべき点があるじゃないか!」  すると、ババン!と机を叩いて友人Bが立ち上がった。 「俺達全員男だぞ!?ヒーロー戦隊って大抵一人か二人は美人な女の子が入ってるじゃないか、野郎オンリーで戦隊ヒーローなんて流行らない!ていうか俺が嫌だ!」 「えええええええええ」 「このままじゃ、俺達の誰かが絶対に似合わない女装をやる羽目になるぞ、それでもいいのか!?」 「その発想はおかしい!」  何でそんな訳のわからない話になっちゃうんですかね。俺は頭を抱えるしかない。  まあ、まったく予想のできない展開ではなかった。  なんせ自分達、同じ大学の特撮研究同好会である。戦隊ヒーローに関しては、そりゃもうめっちゃうるさいのは確かなわけで。いくら地球の危機と言われても、譲れない点が多いのは確かなのだろう。  というか。 「……それ以前にもっとでっかい問題があるんじゃないかなあ」  友人Cがやや遠い目になって言った。 「俺らの中で、ヒーローの激しい動きができるほど運動神経いいやついんの?」 「…………」  全員、沈黙。  まあ、お察しである。  なんせ生粋の運動大嫌い、ひきこもり予備軍のスナック菓子大好きなオタクばかり。誰も彼も、身長170cm以下にして、体重は100キロ越えている奴らばっかりだ。そんな面子が四人集まっているこの部屋の温度も明らかに2度くらい上昇しているわけで。 「ていうか、お前ら忘れてないかな」  そして、トドメで俺が口を開くのである。 「卒論の締切迫ってて、このままじゃ俺ら仲良く全員留年なんですけど?」 「…………ソウデシタ」  ああ、銀河の仙人様とやら教えてください。どうして俺らをヒーローになんか選んだんですか。どう見ても、チョイスをミスってるとしか思えないんですが。 ――……返品交渉、できねえのかなあ。  果たしてこんなザマの俺達は、ヒーローに変身することができるのか?というか変身したところで本当にお役に立てる時があるのか?  残念ながらそれは、文字通り神のみぞ知るところである。
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