第一話 王道学園に転生した

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 この学園では、いずれかの部活か委員会に入ることが義務付けられている。  お楽しみBLイベントのためだと思うけど、モブにとったら、ただただ面倒くさい。  なんでか俺は、交通安全委員っていうわけ分からない委員会に当たっていた。  車の往来も殆どなく敷地内に寮もスーパーも診療所もあるのに、どの車に気をつけろっていうんだろう。    今日は交通安全週間とかで、校舎柵に交通安全の標語とかの旗を立てるはずだった。  行ってみたら、メインの校門前は終わっていて先生と交通委員長に怒られた。  なので、今。  俺は一人で、校舎裏の人気がない柵に旗を立てている。  仕方がないんだ、俺は昼飯食べ終わったけど、委員のみんなはこれからだから。  一人、「手伝うよ」って言ってくれたヤツがいたけど、昼飯抜くと死にそうなひょろひょろだったので丁重にお断りした。  道路というより私道みたいに狭い道は、すぐ側が鬱蒼とした藪になっていて怖い。熊でも出そう。  立入禁止でもあるし、生徒もあまり寄り付かない。  あれ? ここ、旗立てる意味なくない?  旗って、生徒への注意喚起だよね?  俺が恐る恐る旗を立てていると、ガサッと一際大きな音がしてぬぅっと黒い物が現れた。 「ギャーッ、熊!」 「え? 熊?」  旗を剣道の竹刀みたいに振り下ろすと、目の前の人は、また「え?」と声を上げた。
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