第九話 いよいよ大詰め、文化祭イベント

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 そして、文化祭、当日。  俺は、斎木先輩と一緒に校内を回っていた。  ゲームであったなぁ、主人公が、先輩に手を繋いでもらって回ってたっけ。 「結構すごいな」  俺達の展示は、ダンボールで作った大型恐竜の模型だ。  天井まで届く大きさで、クラスにこういうの好きなやつがいて、なかなかの力作になったと思う。 「小坂はどの辺りを担当したんだ?」 「えっと。これです」  俺は下にある、緑に塗られた不揃いなシダを示す。  最初は、大型恐竜も手伝っていたんだ。  だけど、尻尾を壊してしまって、製作リーダーから「頼むから触らないでくれ」と言われてしまったんだ。  それを聞いて、先輩の顔が笑いを堪えるように歪んでいた。  笑っていいんですよ!  3−Sクラスは、執事喫茶をやる。  主人公が攻略対象者から、姫扱いされてきゅんきゅんくるイベントだ。 「出番はいつですか」 「……午後から」 「照れてます?」  耳が赤くなってた。  もう! 可愛いな!  それから、時間が許す限り、一緒に回った。  二人でクイズをしたり、全然怖くないお化けに笑ったり。  甘いコーヒーを飲んで先輩が顔を顰めたり、剣道部でおもちゃの竹刀で素振り体験をして笑った。  短い時間だったけど、すっごく楽しかった。
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