第一話 王道学園に転生した

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「狸の世話してて」 「へ? たぬき?」  ぽつりと先輩が言うから、聞き返してしまった。  斎木先輩が言うには。  山菜を取りに藪に行ったら、仔狸が怪我をしているのを見つけて、駄目だと知りつつ治療してやったらしい。  母狸とはぐれたのか、餌も持ってきてやっているそうだ。 「へぇぇ」 「あー、うん。駄目だよな、野生だし。分かってるんだけど」 「可愛いでしょうねぇ」 「動物好きか?」 「はい。親がアレルギーで飼ったことはないんですけど」  小さいモフモフしたのは好きです。  そうか、と斎木先輩が微笑む。  先輩も面倒見るってことは動物好きなんだな。  でも、そんな設定、あったっけ? 「あそこ、茸取れるんですか?」  斎木先輩が言うには、なかなかに食材の宝庫らしい。  実は、生徒の立入禁止区域なので黙っててくれないか、とイケメンが神妙に言うから。 「いいですよ。今度、狸見せてくださいね。そしたら、俺も同罪です」  俺は笑って言った。
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