第九話 いよいよ大詰め、文化祭イベント

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「あんなに可愛かったんだね」 「もったいない、なんで隠してたんだろう」 「あれなら、全然いいよね」  周りが、主人公を認めていく。  それは、終盤、主人公が愛する人と結ばれたときの周囲の声だ。  今、渋谷あおいは、花道の先端に立っている。  スポットライトと歓声と称賛を浴びて。  それは、まさしくラストの幸せな主人公そのものだ。  決して。  悠然と、一段下にいる俺達を見下ろして。  勝ち誇ったように、自分の容姿を見せびらかすような顔じゃなかったんだ。  キャーッ!  急に、ステージ前方でものすごい歓声が沸き起こった。  花道に釘付けだった視線が、歓声に釣られてステージに向く。  そこには、次の出場者が二組立っていた。 「は?」  立っていたのは、白のタキシードを着た生徒会長と、手を引かれたドレス姿の加賀谷だ。  不貞腐れてるけど、照れくさそうな加賀谷は本当に綺麗だった。  そんな加賀谷を、会長は心から愛しいって顔で見ている。  その後ろから、チャラ男会計が登場した。  姫抱っこされてるのは、図書委員長だけど……ちゅうしてるけど、がっつり舌入ってるよね? 「小坂」 「あ、先輩!」  あれ、なんですか?!  俺が声にならない声で指を差すと、先輩は事も無げに言った。 「ん? 付き合ってるぞ、あいつら」  知らなかったのか? って聞かれて、俺は口をぽっかり開けてしまった。
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