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「海里!!」
『あ…姉ちゃん』
廊下にあるイスに俯いて座っている海里を見つけ、声を掛けた。
「里香ちゃんは!?」
『今、眠ってる』
「そっか」
ここは病院。
海里の話によると、松野さんの家に行き話をしている途中に女の人が来て、里香ちゃんのお腹を包丁で刺したらしい。
松野さんと女の人は急いで逃げ、海里が救急車を呼んで病院に運ばれたが傷口が深く、どうなるか分からないらしい。
「ねぇ、海里、その女の人って髪長かった?」
『分かんない。顔もパーカーのフード被っていたから分からなかったよ。ただ話し声が女の声だった。…ごめん、俺何も出来なかった』
「…大丈夫だよ、海里。海里が居てくれたからすぐ救急車を呼べたんだよ」
『うん』
今は、松野さんやその女の人の事より里香ちゃんが助かってほしいと願った。
ドアが開く音がして、見ると医者で目が合うと向こうが浅く頭を下げた。
「あのっ」
私は立ち上がり、その医者に近付いた。
『…今、意識を取り戻したんですが、どこまで持つか』
「え?」
医者の横を通りすぎ、私と海里は病室に入って行った。
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