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「で、あんたが犯人なんでしょ?三橋さん」
病院の屋上。
夕日が沈みかけていて、誰も居なかった。
私は三橋さんを思いきり睨む。
『そうだって言ったらどうする?証拠ないでしょ?』
三橋さんは、首を傾げて笑った。
憎ったらしい。
この場で殺したい。
里香ちゃんの仇。
「無いけど、あんたしか居ねぇじゃん」
私は思いっきり足を上げて、三橋さんを蹴った。
『きゃ!い…痛いっ!!』
「すげぇ、ムカツク!!死ね!!」
三橋さんは『痛い…』と言いながら立ち上がり、スカートに付いた汚れを手で叩いて落としている。
『ねぇ、何で私だけ悪い言い方するの?』
涙目になりながら三橋さんは言った。
「うるっせぇな。人の母親殺しといてよく言えるなぁ!」
『私だって…私だって辛かったのよ!?あーちゃんのお父さんのせいで私のお母さんは自殺したのよ!?』
「はぁ!?それが何。恨むなら私の父を恨めよ!!私だって里香ちゃんだって海里だって、ずっと辛かったわ!!」
『…あーちゃんは良いじゃない。本当の母親と一緒に居たんだから。私は、お母さんが死んだ後、今の家に引き取られるまで親戚中を転々としていたわ』
「だからって…」
『学校の給食だけが1日の食事の時期もあった。物置きが部屋の時もあった。そして、一番悲しかったのは親戚の男達にレイプされてた時期。私の初めては13歳の時で、親戚のおじさんやら息子…あぁ…泣いたなぁ…』
私は顔を伏せた。
だからか…辛い過去があったから恨みが強いんだ。
話を聞いてかわいそうだと思うけど、里香ちゃんを殺した恨みは晴らしたい。
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