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「松野さん、この死体どうしたらいい?」
私は目の前に居る松野さんに聞いてみた。
『あかりちゃんがあかりちゃんを殺したんだね。まぁ、俺に任せて』
松野さんは死体をビニールシートに包むと紐で縛っていく。
「海里も何とかしといて。一人になるからかわいそう…」
『…分かった。なぁ、あかりちゃんはあかりちゃんの事好きになれなかったの?』
「出来たら仲良くしたかった…。同じ名前だし、半分は血繋がってたからね」
私は腕まくりをして、松野さんと一緒に紐で縛っていく。
『あかりちゃん…その手どうしたの?』
「切った事があって。わざとにね」
よいしょ、と車のトランクの中に死体を入れた。
「じゃあ、お願い」
『あかりちゃんは、これからどうするの?』
「自首してくるわ。どうせ逃げられない」
『…あかりちゃん、元気でね』
「松野さんもね」
私は、トランクの中に入っている死体を撫でながら涙を流した。
「私達、悲しい人生だったけど、生まれ変わってもし出逢えたら今度は…」
『あかりちゃん』
「うっ…今度は仲良くしてね」
松野さんは、静かにトランクを閉めて車に乗った。
「さようなら、あかり」
私は、車が見えなくなるまでその姿をずっと見続けていた…。
〈完〉
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