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寝具を頭から被った。
「ロバート。ジムを責めたところでどうしようもないわ」
ヘレナはロバートの横に坐った。
「すまない。何だか落ち着かないんだ」
「それなら今からでもここを出ましょう」
ヘレナは立ち上がってジェニファを起こした。
「起きて」
ジェニファは眠たい目を擦って、
「何、もう朝なの?」
「違うわ」
「じゃあ何で起こすのよ」
口を尖らせて身体を起こす。
「この家を出ましょう」
「えっ!?夜中よ。冗談でしょう」
「いいから早く支度して」
「ヘレナ、どうかしてるんじゃない?」
眉間に皺を寄せたジェニファの顔の皮膚が溶けて剥がれ落ちてゆく。
「ひっ!?」
ヘレナの足は竦んだ。ジェニファは、
「不愉快だわ」
と強い口調で言った。声は確かにジェニファだが、その姿は人体標本だ。肉と神経と骨。ヘレナはパニックになった。
「大丈夫かヘレナ?」
ロバートの声い我に返った。ヘレナは二、三度瞬いてロバートを見た。それからジェニファに視線を移す。いつもと変わらない彼女の姿があった。
「私は疲れているの!」
そう言ってジェニファはベットに潜った。
「僕たちも休もう」
ロバートが力なく言った。ヘレナは額にてをあて、
「おかしくなりそう」
と溜め息をついた。
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