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昼間に熱が出て解熱剤を服んで眠っていたマイクは夜になって熱が下がり、目が冴えてきた。ベットに転がって天井を見ていても退屈だ。マイクは踏み台に乗って、窓を開け双眼鏡で外を眺めた。
澄みわたる夜の空を司る月の女神はじあいに満ちている。闇に迷う子羊のために一条の光を灯す。暗がりに射す光の存在ほど明確なものはない。
マイクは美しい夜空の月を暫く眺め、隣の家に目を転じた。二階の部屋に明かりがついていたけれどすぐに消えた。一階の部屋の明かりはまだ灯っていた。
マイクは想像した。隣にはどんな人が住んでいるのだろう?ひとり暮らしのお爺さん?お金持ちの男の人?それとも女の人?ファミリーかな?僕と同い年くらいの子はいるかな?そうだ!隣の家へ行ってみようと、マイクは決めた。
※ ※ ※
やはり眠れない。すぐに行動に移すべきよ。ベットから抜け出しヘレナは部屋を出た。ロバートは気付いてすぐに後を追った。
「待ってくれヘレナ」
「私は早くここを出たいの!」
「わかってる」
ふたりは忍び足で階段を下りた。廊下にはリビングの明かりが届いている。深夜のテレビの音が静けさを掻き消していた。玄関のドアノブを握ったとき。
「こんな時間にどうしたんだね?」
声をかけたオリバーは、ねっとりとした眼つきでふたりを見た。その眼差しが異様で不快だった。
「その、なかなか眠れなくて。それで車の中で寝ようかと」
ロバートは早口で言った。
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