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「それはそうでしょう。あなた方はこの家から出ることが出来ないんですから。それにあれ。あれは業務用ですよね。」
ロバートは挑発的な口調で言った。かれが指を指した先には、スライサー、フードプロセッサー、冷凍庫があった。そのどれもが大型だった。
「私もあれは妙だと思ったのよ」
ジェニファは頬に手をあてた。
「家から出られないって、何の話だ?」
怪訝そうにジムが訊いた。
「言った通りのことさ」
ロバートは投げ遣りに応えた。
「いつものあなたらしくないわ。いったいどうしちゃたの?」
ジェニファはロバートの方を向いて、頬にあてていた手を放した。その手がべっとりとしている。彼女は自分の手を見て悲鳴をあげた。
「おい、どうしたんだよ」
ジムはジェニファを心配そうに見つめた。
「な、なんなの!ね!?」
顔を触ると、ボロボロと顔が崩れ、ポトンと目玉が足許に転がった。
「ジェニファ!しっかりしろ!」
のたうち回るジェニファをジムは抑えようとしている。ヘレナとロバートは熱に溶けてゆくようなジェニファを見下ろして、憮然としていた。
「助けなきゃ!」
と言ったジムだったが、ようやく彼の目にもジェニファの異様な姿が映った。
「ひっ!?」
彼女の身体から手を離した。ジムの手にはジェニファの肉片がべっとりとくっついた。
「うわっ!」
両手を大きく振り払って、
「な、何をしたんだ!?」
ジムはキース夫妻に食って掛かった。
「俺たちは何もしちゃいない」
「ええ。家主がやっていることよ」
オリバーもグロリアも他人事のように応えた。
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