HOUSE

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この奇妙な出来事を夕食の席でセシルは話した。それを聞いたビルとマリィは呆れた表情をした。 「隣の家へ行こうとしたけど、行き着かなかった、だって? そんな話、信じられるものか」 「そうですよ、お義母さん」 セシルは息子と嫁の顔を見つめて、 「嘘だと思うならマイクに訊いてごらん。ねぇマイク、隣の家には行けなかったわよね」 「おばあちゃんの言っていることは本当なの?」 ママに訊かれたマイクは深く肯く、 「本当だよ」 「おばあちゃんを庇ったりしなくていいんだぞ」 とビルは言った。マイクはかぶりを振って、 「本当なんだ」 と真顔で言った。 「それってどうゆうことなのかしら」 マリィはビルに視線を送った。その眼は息子を信じている眼だ。ビルももちろん疑っていない。身体が弱くすぐに病気になるから学校にも行けていない。だから友達もいない。寂しい思いはしているだろうけど、素直な子に育っているとビルもマリィも思っている。 「もしかしたら神の御加護だったのかもしれない」 とビルは言った。 「どう言う意味?」 マリィは訊いた。 「ほら、家が人を喰うって話があるじゃないか」 「何言ってるのビル。あなたホラー映画の観すぎじゃないの」 「マリィ。この世には、僕たち人間には理解できないこともあるはずだよ」 「そうよマリィ。ビルの言う通りよ」 「お義母さんまで何を仰るんですか。そもそも用もないのに隣の家へ行く必要なんてないんです。マイク、あなたも身体が弱いのだから外出は控えなきゃだめよ」
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