HOUSE

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ママに注意されたマイクは「うん」と小声で返事をして、自分の部屋に戻った。 パパが言っていたことがもしも本当の事だったら。マイクは恐ろしくなった。 踏み台に乗って双眼鏡で外を眺める。無数の星が輝いている。下界で何が起きても星は昨日も今日も明日も空にいる。夜空を暫く眺めた後、隣の家を見た。一階の部屋から明かりが漏れている。 誰かが住んでいる。その人は家に食べられていないことになる。それともこれから食べられてしまうのだろうか?もしかすると誰も住んでいなくて、家が明かりをつけたり消したりしているとか。マイクはかぶりを振った。 どちらにしても気味が悪い。だけど。家のことを知りたい。好奇心が恐怖より勝った。 ※ ※ ※ ヘレナとロバートはまず、ジムとジェニファの遺体を処理した。彼らの中に存在していたはずの良心はその顔を隠した。自分たちの生命を守るためには、時として善に逆らうことも必要だ。 それからふたりは家の中を見て回った。一階の奥の部屋にはドレッサーとベットがあった。クローゼットの中にはデザインの古い服が並んでいた。宝石箱の中には高価な宝石が入っていた。ヘレナはダイヤの指輪を翳して溜め息を洩らした。彼女はそれをGパンのポケットに滑り込ませた。 ロバートはここを出て行く方法がわかるようなものがないか、クローゼットを探したがみつからなかった。 ふたりは揃って二階へ上がった。様子が変わっていることに気付く。自分たちが泊まった部屋はなくなって壁になっていた。その向かいに部屋が出現している。中を覗くとベットが一台。ベランダが見える。男物の衣類が散乱していた。 「この家、いったい、」 と呟いたヘレナにロバートは言った。 「生きているんだよ、家が」 「そんなのあり得ない」 「そう思いたいだろうが、事実だ」
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