HOUSE

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「切ない話だな。それってさ、環境問題に警鐘を鳴らしているってこと?」 「さぁ、どうだろう」 スティーブたちが坐っている席の隣のテーブルに、親子連れが腰を下ろした。少し大きめの星条旗のピックが刺してある、チキンバーガーが少年の前に置かれた。 「誕生日とはいっても、お店にまで来ることはなかったのよ」 母らしき女性は不満そうな声だ。 「いいじゃないか。母さんのことばかり考えていたんじゃ日常生活ができやしない」 「ええ、それはそうだけど。だからってお祝いする気分には悪いけどなれないの」 夫婦の会話から、少年の祖母になにかあったらしい。興味をそそられたスティーブは席を立ち、 「誕生日ですか。せっかくだから僕からもお祝いさせてもらいたいんだけど。甘い物は好きかな?」 少年に訊いた。少年は両親に視線を送った。父親が笑みを浮かべ、 「御親切にどうも。しかし、」 と言葉を濁している。スティーブは、 「これは失礼。僕はフリーライターをやっています。」 と名刺を差し出した。少年の父は名刺を受け取ると、 「僕はビル=オーエン。彼女は妻のマリィ。それから息子のマイク。今日で十二歳になるんだ」 ビルの話を聞いていたエミリアが、この店で人気のシナモンドーナツを皿にのせて、マイクの所へ持って行った。 「お誕生日おめでとう。わたしはエミリアよ。八歳になるわ」 「ありがとうエミリア」 マイクはシナモンドーナツを頬張った。 「可愛いお嬢さんね。マイクのためにありがとう」 マリィは頬を緩めた。エミリアはサムに向かって、 「パパもお祝いしてあげて」 と言って席に戻った。
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