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サムはビルと、マリィそしてマイクの顔を見て、
「サム=ウィルソンだ。誕生日おめでとう」
と名乗った。スティーブが、
「彼はフリーのカメラマンなんです」
と職業を紹介した。
「かっこいい仕事だね」
マイクはエミリアに視線を向けて言った。
「僕はこの都市でインテリアの店を営んでいます」
ビルはスティーブとサムに向かって言った。
「それはオシャレな仕事だ」
「丁度、机を買い換えたいと考えていたところなんだ」
「ぜひうちで選んで下さい、パーカーさん」
マリィは口許を緩めた。
「マイクだったね。コークはどう?」
スティーブは通り掛かった店員にコークを頼んだ。店員はすぐに持って来た。
「立ち入ったことをお訊きします。お母さまに何があったんですか?」
空いている椅子に腰を下ろしたスティーブは、本題に入った。ビルとマリィは当惑した。初対面の人に話すようなことではないと考えている。
「義母のことを、あなたに話すわけにはいきませんわ、パーカーさん」
と、きっぱりと言い切る。
「実は今、三年前に失踪した若者のことを調べているんです」
スティーブは真剣な眼差しを向けた。
「それは記事にするためだろう?」
ビルは少し不快そうな声で訊いた。
「そうですが、それよりも彼らが無事に見つかることを一番に考えています。生死さえ判然としない、それが家族を苦しめるものだと思うのですが」
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