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第一章『ゲーム開始』
「あっ、マサ。あんた今ど」
「やっぱストップ」
ナオはそう言うとトモの電話に待ったをかけた。
「ちょっと何するのよ」
もちろんトモは抗議。
なにせマサに電話して今どこにいるのか確認するように言ったのは当のナオなのだから。
「せっかくだしゲームしようぜ」
「何のゲーム?」
トモの横に座っていたレナが身を乗り出す。
「誰が早くマサを捕まえれるか対決」
ナオが提案すると
「もちろん携帯は禁止だよね?」
意外と乗り気なトモ。
「あぁ。タカも参加するよな?」
ナオが隣のタカに聞くと
「別にいいよ」
普通に応じるタカ。
今四人はタカの両親の経営するイタリアンレストラン・四川にいる。
夕飯時前ということもあり店内のお客さんはちらほら。
タカも手伝わずに会話に入っていた。
「四人だし2チームに分かれて勝負するっていうのはどうだい?」
「いいよ。チーム分けどうする?」
タカの提案にレナが応じる。
「まぁ、いつも通りでいいんじゃないかな」
「じゃあ、トモ頑張って」
タカとレナの会話でチームも勝手に決められた。
お決まりのナオ&トモのチームだ。
二人も特に反論しない、慣れたものである。
ちなみにリナは部活の練習で本日は欠席となっております。
「では、今からスタートということで」
ナオは合図を出すとトモと二人四川を出た。
タカチームは出てこなかった。
タカのことだからまずは作戦会議といったところだろう。
「いきなり出てきたのはいいけど、どこかあてがあるの?」
「マサの行く所なんてだいたい決まってるだろ」
「確かにそうね。この近辺の常連の場所あたればすぐ見つかりそうよね」
ナオチームはわりと楽観的だった。
「まずはどこにする?」
「ん~、あいつが一発目に食べる所といったらやっぱあそこだろ」
ナオの言葉にトモもピンときた。
二人は揃って目当ての店へ。
「おばちゃん、こんにちは」
「あらっ、ナオ君にトモちゃん。いらっしゃい」
「マサ来てる?」
「マサ君?そこに・・・あらっ、もういない。さっきまで美味しそうにコロッケ食べてたんだけどね」
そう、ここはマサ行き付けのお肉屋さん。
ここのコロッケが大好物のマサ。
「マサ、一人でした?」
「いいえ、マサ君より大柄な男の人と一緒だったわよ。ほら確か趣味相談所にいる人よ、名前なんていったかしらね」
「あぁ、寺門さんか」
食の最強コンビだ。
「二人共本当美味しそうにコロッケ食べてたわよ」
おばちゃんはその情景を思い出して嬉しそう。
「次どこ行くとか言ってませんでした?」
「そうね~、甘いのがどうこう話してたような」
お決まりのしょっぱい物の次は甘い物の流れだ。
「おばちゃん、ありがと」
肉屋を後にした二人。
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