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そして百合花がジムに行くということは、2人が今日会う予定はないということだろう。
つまり浩一が残業と無駄な言い訳で遅くなることなく帰ってくる。
百合花と繋がっていると浩一のスマホを覗き見ずとも2人の逢い引き事情が分かることもある、それは唯一の利点かもしれない。
『いいですねー! 今日のメニューは何ですか?』
百合花からは即返事が返ってきた。まだ数往復はしそうな会話の流れにげんなりする。
その後も予想通り百合花とのやり取りは続いた。
『そういえば高校の時、私たち一緒にミスコンに出たことありましたよね』
ああそういえば、そんなこともあったっけ。
あれは高3の時の文化祭。当時の友だちに勝手にエントリーされて、流されるままに出場したら運よくグランプリに選ばれた。
確かに百合花のいうように、その時の準ミスが百合花だったような記憶は薄らとある。
けれど何せタイムリープを含めると6年前のことだ、それから怒涛の日々を送ったことも相成って、正直あまり印象には残っていない。
『私は準ミスで、天音センパイはグランプリ。あの時の天音センパイ本当に綺麗でした。
それからずっと、天音センパイは私の憧れだったんです』
―――よくもまあ、思ってもいないことがこんなにもペラペラと出てくるものだ。
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