6話

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いくら特殊な言葉を吐こうが、百合花来襲の夜、浩一と2人で“百合花と比べると雲泥の差” “みすぼらしいおばさんみたいだった”等、私を馬鹿にするようなメッセージのやり取りをしていたことを浩一のスマホを見て知っているから、思わず失笑が漏れた。 そのうちに百合花からジムに到着したとのメッセージが届き、やり取りはそこで一旦中断となった。 そろそろ本当に夕飯の支度を始めなければ。私は緩慢な動作でソファから立ち上がる。 しかしソファの横に立てかけられた姿見に自分の姿が映り込んで足を止めた。 まっすぐ前を見つめれば、鏡の中の私と目が合う。 もはや慢性的なものとなった目の下の濃いクマ、青白い顔色。 そういえば最近、ろくに眠れていなかったっけ。それにしたって酷い顔だ。 それでもタイムリープする前の私よりはいくらかマシかも、なんて自嘲する。 そんな私の顔に並んで思い浮かぶのは、昨日の百合花。華やかで、女としての自信に満ち溢れていた姿。 前回の人生ではそんなことを気にする余裕もなかったのに、今となるとそればかりが目について。 こんな私と比べたら、浩一があちらに夢中になるのもある意味必然なのかもしれない。 そんなことを一瞬でも考えてしまう程には、疲れているらしい。 私はその弱音を振り払うように頭を振って、キッチンへと足を向けた。
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