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「ところで、よく眠れたか?」
「あ、はい! それはもうおかげさまで……こんなにぐっすり眠れたの久しぶりです」
「それはよかった。何ならもっと寝ててもよかったのに」
「いやそれはさすがに……」
蓮見さんが私の顔を覗き込むように見つめる。
「うん、顔色も少しはマシになったか」
「……やっぱり私、相当酷い顔してましたよね」
私は自嘲するように呟いた。
「寝不足がたたれば、人間誰しもそんなもんだろ」
けれど蓮見さんがあまりにあっけらかんとそう言うものだから、なんだか拍子抜けの気分になる。
「……そうなんですかね」
「そうだよ。俺も昔ほぼ3日完徹で仕事したことあったけど、そん時の人相は酷かった。
潮が引くようにサッと周りから人が引いてったよ」
「ええ、すごいですねそれ」
この綺麗な顔からは想像もできないことに、思わず小さな笑みが漏れた。
「ああ、だから身体にガタがきてる時はとにかく休むのが1番だ。お前が倒れてたらどうにもならないだろ」
蓮見さんがちらりと陸斗の方へ目を向ける。
「そう、ですよね……この子のためにもしっかりしないといけないのに、私……」
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