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浩一から話がいっていたのか、今日は義実家から呼び出しがかかることもなく夜を迎えた。
陸斗を寝かしつけた後、比較的早く帰宅してきた浩一と向かい合って座り―――話し合いが始まる。
「……それで、考えるっていうのはどうなった?」
早速問いかけてくる浩一に、私は答える。
「……うん、よく考えたんだけど……やっぱり私、このままでいたいって思う」
浩一の眉尻がピクリと動いた。
「このまま? ……つまり、同居はしたくないってこと?」
「……近距離とはいえ、別の世帯で暮らすのと同居とでは色々と勝手が違ってくると思うの。それで上手くいかなくなるくらいなら、今の距離を保つ方がお互いのためじゃないかって……」
そもそも今だって上手くいってもいないし、可能な限りはるか遠くへ離れたいものだけれど。
そんな心を秘めながらも、ひとまずは当たり障りのない理由を述べることにする。
言い終えた私は、浩一の様子を伺うように目線を上げる。
浩一はしばしの沈黙の後、口を開いた。
「……それって結局、天音の想像でしかないよな」
「え……」
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