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「ああ。主婦歴はどうしても母さんの方が長いんだからさ、その目線から見れば色々と気になる出てくるのはしょうがないと思う。それに、豪に入れば郷に従えって言葉もある訳だし」
浩一は私の返事も待たずに、ペラペラと言葉を並び立てる。
「確かに嫁姑問題ってよくある話かもしれない。でも世の中にはそれを乗り越えて上手くやってるとこだってごまんとある訳だろ?
それなのに最初からそれを無理って言い切るのは甘えじゃないのかって」
いつの間にか被害者と加害者の立場をすり替えて、こちらが悪いと責めに転じる。
「だから天音も頑張ってみよう。きっと母さんも、そういう姿を見せていくうちにもっと天音のことを認めてくれると思うから」
そして不安感や罪悪感を植え付けた後、急に態度を和らげて妥協案に見せかけた命令を取り付ける。
まさに浩一のよくやる手口だ。
けれど私は頷かない。もちろん「YES」とも答えない。
「……天音?」
浩一が焦れたように名前を呼ぶ。
それでも黙り込む私を前に、指先で机の上をトントンと叩いた。
その小刻みな音だけが響く、重苦しい空気が数十秒程続いただろうか。
「……めんどくせ……」
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