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浩一が舌打ちと共に呟いた。
そして勢いよく席を立つ。
「もう寝るわ。もう一度頭冷やしてよく考えとけよ」
吐き捨てるようにそう言って、浩一は寝室に入っていった。
別に、今更何かを期待していたわけじゃない。
元々同居の嫁が目の前でいびられていても素知らぬ顔をするような男だ、そんな奴に何を言っても無駄だと分かっていた。
それなのに、ドッと押し寄せる徒労感。
私が話し合いの結果得たものは、浩一がろくでもない男だということの痛感のみだった。
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