8039人が本棚に入れています
本棚に追加
「嫁の分際で、婚家の決定に逆らうとはどういうつもりなの!」
そのまた翌日、義実家に呼ばれた私は、待ち構えていた義母から延々と罵倒を受けた。
「立場を弁えろ」「これだから施設上がりの女は駄目ね、目上の者や一家の長たる夫を立てることを知らない」「本当に憎たらしいわ」
私のスマホは「またコソコソされたらたまったものじゃない」と宣った義母によって、到着早々に取り上げられていた。
だからこそ義母はいつも以上に好き放題言い放つ。
「そもそも私たちは浩一と陸斗と一緒に住みたいだけなんだから、気に入らないならアナタ1人で出ていってくれてかまわないのよ?」
「それは……」
暗に離婚を匂わせる義母。
言い淀む私を前に、せせら笑う。
「代わりになる嫁はこちらで新しく用意しますから。今度こそ、長尾家に相応しい嫁をね」
「……」
「アナタ、この家にいらないのよ」
取り上げられたスマホは、義母の背後にあるテーブルの上に無造作に置かれていた。
そして私のポケットの奥底には起動中のボイスレコーダー。
最初のコメントを投稿しよう!