6-2話

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「嫁の分際で、婚家の決定に逆らうとはどういうつもりなの!」 そのまた翌日、義実家に呼ばれた私は、待ち構えていた義母から延々と罵倒を受けた。 「立場を弁えろ」「これだから施設上がりの女は駄目ね、目上の者や一家の長たる夫を立てることを知らない」「本当に憎たらしいわ」 私のスマホは「またコソコソされたらたまったものじゃない」と宣った義母によって、到着早々に取り上げられていた。 だからこそ義母はいつも以上に好き放題言い放つ。 「そもそも私たちは浩一と陸斗と一緒に住みたいだけなんだから、気に入らないならアナタ1人で出ていってくれてかまわないのよ?」 「それは……」 暗に離婚を匂わせる義母。 言い淀む私を前に、せせら笑う。 「代わりになる嫁はこちらで新しく用意しますから。今度こそ、長尾家に相応しい嫁をね」 「……」 「アナタ、この家にいらないのよ」 取り上げられたスマホは、義母の背後にあるテーブルの上に無造作に置かれていた。 そして私のポケットの奥底には起動中のボイスレコーダー。
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