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どうしてこんなところにいるのか分からない、分かりたくない。
そんな風に、私はまだ現実を受け止め切れないまま息子―――陸斗の葬儀に訪れていた。
そして今私の前には、その主催者たちが並び立っている。
私を人生のどん底に追いやった、そんな彼らが。
「天音センパイ、ごめんなさい……!!
全部、全部私が悪いんです……!!
母親なのに、りっくんのことちゃんと見ていて上げられなかったから……っ」
目の前で女が、大仰に声をあげて泣き崩れる。
「違うんだ天音、彼女は悪くない。全部俺が悪いんだ……!!
だから、彼女を責めないでやってくれ……!!」
そんな彼女を支え、必死に庇うのは私の元夫である長尾浩一。
「そうだよ百合花さん、責任は私にだってある、だからそう自分を責めるもんじゃない」
彼女の肩に手を乗せ、慰める元義父。
「コウちゃん、お義父さん……っ」
そんな二人の男に涙目で縋るのは、馬場百合花。
私はこの女に、全てを奪われた。
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