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そしてそんな結婚生活が続いたおかげで心を病み、体を壊して満足に動くこともできなくなった私は、かつて不味いと罵られた料理のように、ゴミ屑同然に捨てられた。
浩一に縋れば「お前はもういらない」と冷たく振り払われて、当然のように陸斗は義母に取り上げられて、身一つで追い出された。粒のような雨が降りしきる日のことだった。
そして浩一は私と離婚した後、すぐに別の女と再婚をして―――その時初めて、私は婚姻中から浩一が浮気していたことを知った。
そしてその女こそが、百合花だったのだ。
百合花はかつての高校の後輩であり、当時はまともに話したこともないような間柄だったが
結婚後に偶然再会を果たしたことによって、友人と呼べるような関係になった相手だった。
「天音センパイ」と私を慕い、時に私の受けている仕打ちを知ると私以上に憤慨したり悲しんだり心配してくれるような、そんな百合花のことを私は友人として好いていた。信用していた。
しかし私はずっと、百合花に裏切られていたのだ。
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