1話

9/19
前へ
/530ページ
次へ
そして絶望に打ちひしがれる私の元に、百合花は現れた。 「あはは! 惨めですねえ、天音センパイ。ボロボロでみっともなくて、すっごい不細工。 昔はあんなにキレイだったのにね?」 百合香は私を見下して、にっこりと微笑む。 「どうして、百合花……私たち、友だちだったはずじゃないの……?」 震える声で尋ねた私に、百合花は言った。 「はあ? 冗談やめてくださいよぉ、そんなオメデタイ頭してるの天音センパイだけですって。 ……だって私、アンタなんて大っ嫌い。ずーっと、アンタが落ちぶれた姿を見たかったの」 だから本当に、いい気味。そう嘲笑う声。 その強烈な悪意は、私の心を完全に壊すのに十分だった。 「安心して?  浩一さんの妻も、アンタの大事な陸斗くんのママも、私がぜぇんぶ引き受けてあげるから。ね、天音セーンパイ♡」 「……ぁぁ、ああああああああ……!!」 私はこうして百合花に全てを奪われて、生きる屍に成り下がった。
/530ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8090人が本棚に入れています
本棚に追加