10-3話

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「……それって、どういう……?」 『明日だろ、旦那たちとの話し合い』 「は、はい……」 『お前にとっては人生を変える一大事だ。 負けることはない、そう分かっていても内心とても落ち着かないんじゃねぇかと思って』 「……はい……」 その通りだった。 何の奇跡か神様の気まぐれか、やり直しの機会を貰うことができて、やっとここまで辿り着いた。 これだけ下準備を重ねたのだからまず負けることはない。 頭ではそう分かっていても心はずっとざわめいていて。 きっと本番を迎えるまでこのざわめきが収まることはない、そう思っていた。 『だからって俺がいたところでどうにかなるとも思わねぇけど、これだけは伝えておきたくて ―――お前は絶対大丈夫だよ』 蓮見さんの声が、真っ直ぐ耳の奥まで響いてくる。 『これまでどんなことをされたって耐えて、息子を守るために戦い続けてきた。 例え奴らから何を言われたって、正しいのはお前だ。 ここ数ヶ月、お前の努力をそばで見てきた俺が保証する』 力強く、頼もしいその言葉。 『だから明日は思う存分言いたいことぶちまけてこい。 お前には俺がついてる。何があっても、俺がお前を助けてやる』 「蓮見さ、ん……」 あれ程煩わしかった心のざわめきが、波が引くようにスッと去っていくのを感じた。 蓮見さんがそう言ってくれるなら、きっと何も心配はない。 無条件にそう思えて。 『聡も鈴も、そして俺も―――お前と息子の幸せを願ってるから』 蓮見さんがそう微笑んだのが電話越しにも分かる。 蓮見さんがくれる温かさと勇気に、込み上げた感情が溢れそうになりながら 私は少し震える声で笑顔を作った。 「……はい……っ」
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