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「お前は、Closeの文字が見えないのか?」
俺は、ミルを回し続けながら、入り口へと目を向ける。
「見えてるって。だから、こうして、堂々と入り口から入ってきてるんだろ。Openだったら、裏口からこっそり来るさ。な、テル」
被っていたフードをハラリと下ろしながら、テヒョンは、悪びれもなく、彼の後に続く、キャップを目深に被ったテルに同意を求めた。
「ジェシクさん、ごめんね。まだ、営業時間だよね?」
「まぁ、そうだが、お前らが来るなら、開けておくわけにはいかんだろ。騒ぎになったら、面倒だからな」
キャップを脱ぎ、申し訳なさそうに、眉尻を下げるテルとは対照的に、テヒョンは、当然の如く、そそくさとカウンターへ腰を下ろす。
「こんなに直ぐに店じまい出来たってことは、客いなかったんだろ? じゃあ、いいじゃん」
「今日は、たまたまだ。いつも言ってるだろ。こっちの都合もあるんだ。突然は、やめてくれよ」
一応のクレームは入れるが、彼らの予定は常にいっぱいであり、そのくせ不規則に変動することを知っている俺は、そのクレームが聞き届けられないこともわかっている。
ミルを回す手を止めて、カウンターに2人分のおしぼりを置く。まだ申し訳なさそうに立ったままでいるテルに視線を送り、座るように無言で促す。
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