幸せ味のミルクラッテ

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 ムニッと伸びた両頬と、突然のことに驚いた表情が相まって、なんとも面白い顔になっているテルをチラリと見て、俺は、そっと視線を外した。  巷で人気の爽やかイケメン俳優の、らしからぬ表情は、見なかったことにしておこう。  テヒョンが手を離すと、テルは、頬をさすりながら、ポツリと零した。 「ホント、さすがだね。ジェシクさん」  テルの言葉に、俺は、片眉を上げただけで、特に、言葉はかけない。その代わり、とびきりうまいミルクラッテを飲ませてやろうと、作業を続ける。  ミル挽きを終えると、片手鍋に牛乳を入れ、トロ火で温める。その間に、カップを暖めていた湯を捨て、ハチミツとコンデンスミルク、それから挽きたてのコーヒーの粉を1:1:1の割合でカップに入れる。  沸騰直前、鍋の周りがフツフツとし出したら、火を止め、牛乳をそれぞれのカップへ。ゆったりとかき混ぜると、カップの中は、白から、ほんのりと黄色く色づく。コーヒーは、申し訳程度に香るだけ。こいつらは、これがいいらしい。  仕上げに、鍋に残した牛乳をミルクフォーマーで泡立て、カップの上澄みにふんわりと乗せた。 「ほい」  若い2人の俳優の前に、ソーサーをコトリと置くと、テヒョンは待ってましたとばかりに、カップを手に取り、勢いよく口をつける。
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