第399話 竜の寵愛 其の六

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第399話 竜の寵愛 其の六

「さっきまで蒼竜(おれ)とそれはそれは艶冶(えんや)な交尾をしてたっつーのに」 「……っ、交尾って……!」    あからさまな言葉に香彩(かさい)の顔が更に朱を帯びる。確かに真竜から見ればあれは交尾だろう。そして先程、彼の前で達した時よりも、もっと淫らなこともしていたのは確かだ。香彩は何ともいえない気持ちになって、竜紅人(りゅこうと)の肩を何度か拳で強く打ち付けた。痛い痛いと言いながらも竜紅人が、今度は大口を開けて笑う。     「本当に可愛いなぁ、お前は。まぁ俺としては……」 「ん……」    言葉を紡ぎながら香彩の背中にあった竜紅人の指が、悪戯な動きを見せた。背の骨の窪みを指の腹でじっくりと堪能しながら、つつと下へと降りていく。  香彩はくぐもった声を上げた。  指は尾骶の辺りで止まり、まるで手遊びでもするかのように、まあるく円を描き始める。一度達した身体は、そんな僅かな刺激でもすぐに熱を持ち始めて、ひどくもどかしい。あともう少しなのだ。あともう少し指を下げてくれれば、濡れそぼつ後蕾に届くというのに。  あまりの焦れったさに、香彩は腰を浮かせそうになるのを何とか耐える。無意識の内に彼の指を腰の動きだけで、自分の良いところに宛てがいそうになってしまって、香彩は熱い息を吐きながら衝動を遣り過ごした。  竜紅人にはそんな香彩の思いなどお見通しなのだろう。臀の双丘の谷間に指が入り込んだと思いきや、後蕾のすぐ上辺りを強く押されて、まるで媚びるような官能的な声が香彩の唇から洩れる。  若茎からとぷりと溢れる蜜は更に増え、竜紅人の衣着を濡らしていた。滴り過ぎだとばかりに、竜紅人のもう片方の指が、甘く𠮟り付けるかのように、とんとんと淫らな若茎の淫口を軽く叩く。後蕾と淫口に与えられるのは僅かな刺激だというのに、香彩の若茎は再び兆して天を向いた。  ここも可愛らしいと囁く竜紅人に、香彩が再度彼の肩を叩く。   「俺としてはもっと可愛かっただろう、お前の姿を見たかったけどなぁ」 「……っは、な、に……?」    色の混ざった声を出しながら、何やら嫌な予感がした香彩は竜紅人を見た。竜紅人の伽羅色は相も変わらず、煮詰めた蜂蜜のように蕩けて香彩を見つめている。だがそれなりに長い付き合いのある香彩には分かってしまった。に、と笑う彼の瞳の奥に、不穏でぎらついたものが宿っているということに。   「蒼竜と目合った部屋の入口に、お前の衣着が落ちていたな」    それがどうしたというのだろう。鈍い快楽に包まれながらも、香彩は訝しむ表情を見せる。   「……っ、だって前の時、衣着破られた、から……」 「ああ、なるほど。だからあの場所で脱いだのか。蒼竜(おれ)のいた場所から、それなりに離れていた気がするけどなぁ」 「……まさか、ん……っ、見たかったって……」 「そういうところは相変わらず察しがいいな、かさい。そうだ。あの場所で衣着を脱ぎ捨てて、この白い裸体を晒して蒼竜(おれ)のところまで、どんな愛らしい顔をして歩いて来たのか」        
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