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「ハァッ。で、なゆ。お前は誰の所に嫁ごうとしてるんだ?」 唇から漏れた唾液を手で拭ったダイキが、問い詰める。 「え?なんのこと?」 「恍けるな。いま、嫁に行けないと言っていただろ。お前は俺達の妻なのに。俺達のものなのに。 なぁ、誰のものになろうとしている。」 ダイキは顔を近づけながら、問う。ダイキの顔が残り数センチの所で止まった。めっちゃ近い。さっきまでのキスを思い出し、恥ずかしくなってそっぽを向く。すると、サナがカナデの元へ行き、カナデの顔を蹴る。カナデはふっとばされた。 サナはそのカエデの背中にハイヒールのカカトを押し付ける。 「カナデ!」 私が咄嗟に叫ぶと、サナは眉をピクッと動かした。 「へぇ、もう名前で呼ばれてるんだ?誰が、許可したよ?ダイキの下僕ちゃん。」 ゴリっと音がした。サナが力を込めてカエデを踏んだのだ。 「やめて、サナ!カエデは関係ないでしょ!」 「何言ってるの、なゆ。下僕ごときがなゆに名前呼ばれて言い訳がないもん。」 サナは頭がおかしくなったように、ゴリゴリと押し付けている。私は咄嗟にダイキに助けを求めた。 「ダイキ!サナを止めて!」 だが、ダイキも怒りで我を見失っていた。ずっと私を見たまんま、動かない。 なに、こいつら。怖! 「ダイキ、よく聞いて。嫁に行けないというのは、冗談よ。よく使われるの。男の人だって言うわ。恥ずかしい時に、顔を隠すのにピッタリで使われるのよ。私の場合はそうなだけ。他の人はどうかわからないけど。恥ずかしかっただけよ。わかった?」 すると、ダイキは深呼吸をしてニコッと私に笑顔を向けると、 「サナ、カナデを離せ。命令だ。」 サナに命令口調で話す。すると、サナはスッと離れた。それを見てホッと一息つく。
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