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急いでカエデの元に向かおうとすると、ダイキに後ろから抱きつかれてベッドへと戻された。 「ダイキ、離して!カエデが、怪我してるのよ。」 ダイキは、喋りかけてくれない。すると、ヤブキに命令をかけ、カエデを部屋から出さした。 すると、サナが前から抱きつく。おしくらまんじゅうの様なぎゅうぎゅう詰めだ。なんかほんわかしたような雰囲気だが、サナに聞かなければいけないことがある。 「サナ、何であんなことしたの?」 「なゆが話さないからだよ。」 「なら、私を痛めつければよかったでしょ?」 「なゆは本当に隠しとうしたいことがあれば、意地でも言わないと分かってるから。それに、とても優しいなゆの事、他人を傷つけられたら守るために白状すると思ったからね。」 サナは、穏やかに話す。 「だからって、あのやり方は…ひどいよ。せっかく仲良くなれたのに。」 視界がぼやける程涙が貯まる。 涙が零れそうになったその時、ガッと顎を掴まれた。 「なゆは私ら以外が必要なの?」 「え……。必要というかいるんじゃないの?」 「ううん。なゆには、必要ないよ。なゆは社会からしたら、ゴミだから。生きてる価値なし。なゆは私ら以外が必要なのか聞いたけど、ホントは皆、なゆを欲しがってない。」 私は何を言ってるのかわからなかった。耳が痛い。 「例えるなら花いちもんめで一回も取られなかった子。いや、それよりなゆは必要とされてない。さっきの二人もダイキの部下で命令されて仕事してるだけだから。」 耳を塞ぎたい。 「見に覚えない?上手くいかなかったとき、なんて言われた?ノロマだ、クズだって言われなかった?それに、みんなが出来ていることが出来ないよね?ドジっ子だけど、それが頻繁に続くとうっとおしいよね。」 涙が出てこない。 「でも!私らは違う。そんななゆを必要としている。愛してるから。大好きだから。私らにとっては生きててくれてありがとうなの。生きてる価値しかない。一生ずっとに居たい。」 バッと顔を上げた。そこには、愛するものを見るような温かい眼差しがあった。すると、急に涙が滝の様に溢れ出した。止まらない。嗚咽も鼻水も止まらない。だけど、そんな私を二人は優しく抱きしめてくれている。その暖かみでさっきの量の涙が出た。二人のハグが心にちょびっとじわりと浸透した。
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