花曇りの白木蓮

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1つの白木蓮が花開いたのは、先週の金曜日。 それから6日後の今日は、すでに花の終わりが近づいている。 白くて柔らかな花が満開で、気高く甘い香りのする、この通学路を歩けば 角の洋館の高いアイアン製の柵からのぞく、その白い花。 私はこの花を見上げて愛でるのが大好きだった。 季節が巡り今度花が咲く頃には、2人で並んで見上げる事ができると胸が幸せで溢れていて。 夏の終わりに実った幼くて甘い初恋は、冬の訪れと共に冷たく終わった。 たくさん好きって伝えたかったのに、少しも素直になれないままの私は 別れの言葉だけには素直に頷いてしまって。 あなたの連絡先を想い出ごとそっと消してしまった。 それからはもう、目が合うこともなく、言葉を交わすこともない。 ため息を一つついて 「好き、だったのにな……」 甘い香りに、胸がいっぱいになり、思わず涙が溢れてしまいそうになる。 上を向いて 「泣くくらいなら、素直になってよ……」 そう自分に言った所で、いまさら、なのに。 ふと、見上げるだけだった白い花に、触れてみたくなって
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