14人が本棚に入れています
本棚に追加
『前利病院前』と印刷された田舎道のバス停に、一日数本しかないマイクロバスが停車する。
ドアが開くと、踏み台を降りるスニーカーが現れた。舗装されていない道路に、小気味良く降り立ったのは、デニムに小さなリュックを肩に掛けた、一人の青年だった。
「ここか。ふっりぃ病院だな」
青年の視線は、年季の入った病院を捉えている。田舎の病院にしては、五階建ての総合病院で入院体制も整っている大きな病院である。
左手にはお見舞い用のフルーツバスケットを持ち、空いている右手で、自身の尖った顎を摘まみ暫く病院を眺めていた。
「ふぅぅぅ……いるな。懐かしい奴だ」
そう言って、その青年は病院の入り口へと歩みを進めた。
呪われた少年/おわり
物語は『新世紀 陰陽師の事件簿』へ続きます。
https://estar.jp/novels/25798211?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=viewer
最初のコメントを投稿しよう!