呪われた少年

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 『前利(さきと)病院前』と印刷された田舎道のバス停に、一日数本しかないマイクロバスが停車する。  ドアが開くと、踏み台を降りるスニーカーが現れた。舗装されていない道路に、小気味良く降り立ったのは、デニムに小さなリュックを肩に掛けた、一人の青年だった。 「ここか。ふっりぃ病院だな」  青年の視線は、年季の入った病院を捉えている。田舎の病院にしては、五階建ての総合病院で入院体制も整っている大きな病院である。  左手にはお見舞い用のフルーツバスケットを持ち、空いている右手で、自身の尖った顎を摘まみ暫く病院を眺めていた。 「ふぅぅぅ……いるな。懐かしい奴だ」  そう言って、その青年は病院の入り口へと歩みを進めた。      呪われた少年/おわり 物語は『新世紀 陰陽師の事件簿』へ続きます。 https://estar.jp/novels/25798211?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=viewer
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