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呪われた少年
「マザー、マザー!」
「聞こえていますよ。どんな時も慌てては駄目です」
「はいマザー。気を付けます」
「それで、どうしたのですか」
「熊のような大男が教会に現れたんです」
「大男?」
「とにかく来てください」
街灯など一つも無い、田畑に囲まれた、とある田舎の小さな教会で、若い修道女が一人慌てていた。
村は背の低い山に囲われた盆地になっており、気候の変化による影響は少ないため住みやすい立地ではあった。
しかしながら過疎化が進行し、若者は数えられる程しか住んでいない辺鄙な村である。
空一面を覆い隠す黒雲から、ハラハラと落ちてくる牡丹雪が幻想的な風景を造り出す。
日没にはまだ早い時間であるが、人っ子一人いない田舎道は不気味な空間と化していた。
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