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それから数日後。
その日はみゆきさんの仕事も早く終わり、
可奈子ちゃんのお迎えに行けました。
保育園に行くと、担任の先生がみゆきさんに会うなり、
「ちょっと、お話させていただいてもいいですか?」
と気まずそうに言って、応接室に通されたました。
もしかして、可奈子ちゃんが何か悪さをしたのかも。
そんな心配をするみゆきさんに、先生は、
「最近、可奈子ちゃん、変じゃないですか?」
と聞いてきました。
「え?」
「すみません。
失礼だとは思うのですが、最近、ちょっとおかしいと思うことが多くて。
たとえば給食のとき、好き嫌いが日によって変わったりするんです。
昨日はニンジンが嫌いだったのが、今日はちゃんと食べられて、
逆にほうれん草が食べられなくなっていたり。
そんなことが、ここしばらく、何度も起こってるんです」
聞いていて、みゆきさんも、そういえば、と思い当たる節があった。
その日その日で、可奈子ちゃんの言葉遣いが微妙に違ったりするのだ。
自分のことを「かなちゃん」と呼んでいたのが、
「わたし」と呼ぶ日がたまにある。
それ以外にも、口調や仕草など、細かい点で違和感を覚えるときがあった。
「あの年頃ですから、日によってムラがあるのも珍しくはありません。
ただ、可奈子ちゃんの場合は特に顕著で……」
「そうですね。私も、ちょっと気をつけて見てみます」
なんとも言いようのない不気味さを胸に抱えながら、
みゆきさんは可奈子ちゃんを連れて家に帰った。
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