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EXTRA 1.
客観的に見れば、佑木奏司の今の境遇は割と悲惨な状況かもしれない。
両親に家を追い出された。
若干十八歳、まだ高校に通っている途中で。
「バンドを組んでギターをやるので、ピアノは止めます」
言った途端に父親の張り手が飛んで来た。今までは甘んじて受けてもいたが、この日は避けた。母親は絶句したまま立ち尽くしていた。
次に貯金通帳とキャッシュカード、印鑑が飛んできた。そこには自分の名前が書かれていたので、奏司は冷静に拾ってとりあえず荷物をまとめた。
両親に見離され家を出てから一ヶ月半…。 将来を決める最後のタイミング、高校三年生、秋。
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