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「綴さん、おはようございます。朝です」
優しくて柔らかい声で奏司が囁く。綴が少し眉を寄せて「うーん」と唸った。
起きるのを嫌がる顔が子供のようで可愛い。
こう思うのも毎朝の…。
くっそ、ずっと見てたいな、時間止まんないかなと本気で思う。でもその美しい寝顔を見ていると、キスどころではない、もっと別の感情も湧き上がってくるのは確かで…。一度目をギュッと閉じて、奏司はもう一度その美しい寝顔に呼びかけた。
「綴さん、起きる時間です」
綴がうっすら目を開ける。至近距離、恋人同士なら確実にキスするだろう位置に奏司の顔。
「………」
その位置のまま、綴が無造作に頭を掻いた。綴にとってもこの『生声の目覚まし時計』はもう毎朝の日課。特に動じることなく、朝日で逆光になったイケメン男子のおでこをグイと押しやって伸びをした。
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