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「あーだりぃな。一限から授業か今日」
ベッドから起き上がって洗面所に向かう。
「コーヒー淹れますね。今日は洋食です」
「おー…」
奏司がキッチンへ移動し、セットしておいたドリップ式のコーヒーにお湯を注ぐ。テーブルには朝日で艶っと光るプレーンオムレツが用意されていた。
綴はそれを横目で見ながら洗面所に入る。
奏司の家事スキルの上がり方がハンパない。
そもそも綴の部屋で奏司が一緒に住む条件が家事の殆どを引き受けるという事だった。綴は本当はそんな事はどっちでもよかったが、その方が奏司が居やすいだろうと思って頷いた。後々分担すればいいか、そのくらいに考えていた。それに、奏司の親もそんなに長く奏司を放っておかないだろうとも考えて。
もともと奏司は器用で、殆どの家事を難なくこなした。しかし料理だけは、指を怪我してはいけないという楽器を扱う者の使命で経験がなかったので、一から学ぶものだった。
が。
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