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「美味いじゃん」
奏司が半日かけて初めて作ったカレーを食べて綴が褒めた。カレーはだいたい成功する。よっぽどでないと不味くはならない…が、奏司はその一言がめちゃくちゃ嬉しかったようで、めきめきと料理の腕を上げていった。全ては綴の「美味しい」が聞きたいがため!
「皆川さんと料理仲間になったんです」
そう言いながら発とやりとりしたメッセージを綴に見せたことがあった。綴の幼なじみの発は実はかなり料理上手だ。実家が酒屋なのだが、発が大学に入る前まで併設して小さな居酒屋をやっていた。母が料理好きだったこともあり、出す料理は全て手作りで、手伝っているうちに発も覚えたのだという。
スマホのメッセージ画面に『いりこ出汁の取り方』が見えた時には、綴は真顔で「こいつどこへ向かってるんだろう…」と思った。
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