42人が本棚に入れています
本棚に追加
洗面所にはフェイスタオルが用意されていた。これも毎朝綴のために奏司が用意しておいてくれる。綴は顔を洗ってそれを取ると、「あ」と小さな声を出した。
「柔軟剤変えたか?」
洗面所から出て、肩に掛けたタオルの匂いをかぎながら綴が問う。
「この前買い物行った時に綴さんがいい匂いだって言ってたやつ、ドラッグストアで超特価フェアやってたんです」
にっこり笑いながら奏司が返す。嬉しそうだ。
「俺も好きです、この匂い」
コーヒーカップを片手に綴の首筋に顔を寄せる。クンと匂いを嗅いで笑った顔がとても幸せそうで、綴の心臓がトクンと鳴った。赤くなりそうな顔をタオルで隠してそそくさとテーブルに着く。
「立派な主夫になってきたな…」
料理以外の気遣いもハンパない。綴の呟きは奏司には聞こえなかったらしく「はい?」といって首を傾げた。
最初のコメントを投稿しよう!