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bonus track 1
早朝、ドアチャイムが鳴って、扉を開けた俺は驚いた。
「…え?」
心からの、会心の「え」。十八年生きてきたけど、こんなに、本当に、意味が分からないという正しい使い方での疑問符を発したのは初めてだった。
「ごめん、連絡してから来るべきだったんだけど、俺杉山の連絡先知らなかった」
そう言って玄関に立っていたのは、この前レッスン室でやっと少しだけ話したピアノ専攻の現首席、佑木奏司くんだった。
「斎藤先生に聞いたら、近くまで行けば分かる大きい家だから、自分で見つけたことにすれば個人情報漏洩にはならないよねって」
そこまでして何の用?
全然検討が付かないんですけど?
俺のぽかんとした表情を丸ごと無視して、佑木くんはちょっと焦った感じで言った。
「二日間、ピアノ貸してくれないかな」
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