わたしをあたためて

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「もしもし。いまどこにいますか」 「ごめんね。ママお仕事先で迷子になっちゃって、今走ってそっちに向かってる」 「はやくきてねママ。あーくんいいこでまってる」 スマホを切った『ご主人』は、ベッドで男にまたがったまま、下から揺すられて荒い息を吐き続けています。 私は指輪。 結婚式の時「指輪の表は皆が見るが、内側は人から見られない。はめた人の内面を知るのも指輪だけだ」 と牧師さんから告げられて、優しい旦那様の手から、白いドレスとベールを着けた花嫁の指にはめられました。 それ以来私の内側はご主人の指で温められてきました
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