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「何度も言ってるだろ! ここは魔法も使えないようなやつが来るところじゃない」
アースは腕を組んで、来客の少年に声をあげた。
「アシスタント募集って書いてあるじゃん」
銀色の髪をツンツンに立てた少年はふてくされる。
「だ、か、ら。ここは魔法探偵事務所なんだよ。分かんないかなー」
壮大な森やきらめく川、みずみずしい自然に囲まれたセルバタウン。街の中央には巨大な水車がゆるやかに回っている。
その北方の森林の奥地に、レンガ模様の小さな探偵事務所がぽつりと佇んでいる。
アースが営む法探偵事務所だ。
アースは現在、『不眠症事件』を取り扱っていた。ここ数ヶ月、町民たちは不眠症に悩まされているのだ。
セルバタウンの町長から直々の依頼ということが、事の重大性を物語っている。
何者かの仕業か、それとも別の何か真相があるのか。アースは一人で事件解決に奮闘していた。
だが、一人での捜査には限界があることを感じたアースはアシスタントを募集していた。
そんな時――。
「魔法は使えないけどさ。オレ、このセルバタウンのみんなを救いたいんだ」
銀髪の少年が事務所の門を叩いたのだった。
「ちなみにキミ、何歳?」
「15歳」
「子供じゃないか」
「事件を解決するのに年齢なんか関係ないだろ」
「遊びじゃないんだよ、これは」
「そんなもん分かってるやい」
「いい加減に帰ってくれ。やることが山ほど残ってるんだ」
「アシスタントにしてくれるまでここを動かないかんな!」
――はあ、疲れた。
アースはメガネを外し、目頭を強く揉んだ。どれだけ拒んでも引き下がらない少年の意志に疲れがでてきた。
仕方がない、エモーションを使おう。
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