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かすがのの
大学時代、海外研修に行った。大学が提携している海外の大学で、春休みの三週間を過ごすというものだ。語学に、観光に、現地学生との交流に……大学の寮に滞在しながらめまぐるしいスケジュールをこなしていく。
行先はドイツ南部のフライブルク。学生が多い街だ。選んだ理由は、第二外国語がドイツ語だったことと、ヨーロッパに行ってみたかった、ただそれだけだった。
初めての異国。カーニバル、トラム、プレッツェル、ドイツ人。日本語、日本人はあまり見かけない。
目に飛び込むもの、すべてが新鮮で、刺激になった。
一番のお気に入りは、町のシンボルの大聖堂。日本でまず見ない壮麗なゴシック建築の建物で、中にたくさん並べられている木製の信者席に座るのが好きだった。
照明は蝋燭ではなく電気だが薄暗く、鉄扉のすぐ外には朝市の喧噪があったはずが、扉一枚を通り抜けただけで音ひとつが石の床に染み込むような静寂の空間へ迷い込む。
木製の信者席には地元住民らしき人影がちらほらと座っていた。慣れたように座って祈りを捧げている。
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