概要ー1

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概要ー1

 二十一世紀も折り返しを迎えた現在、人々の格差は広がり、凶悪犯罪は増加の一途を辿っている。  それは、ここ日本においても例外ではなく、刑務所を増改築してなお、追いつかない状況である。  特に昨今は、死刑囚を始め、無期懲役、あるいは刑期が二十年を超える者が急増している。  それに加えて、法務大臣が死刑執行命令を出し渋るという現実があり、このままでは刑期の短い物から釈放していかないと追い付かなくなりそうである。しかしそれは同時に法の秩序の崩壊である。  更に問題なのは維持費である。刑務所職員の増員、受刑者の食費等、財政を圧迫する要因が多数存在する。  このままではいけないと判断し、昨年の大幅な憲法改正の際に、ある一つの憲法を改正した。  旧憲法第三十一条、通称『復讐禁止法』と呼ばれるのが、それである。
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