序章  封印された歴史

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 *  ……やがて、時は過ぎ。  かつて戦国の世に智将として名を知らしめた武将の居城は、今は城址公園として市民の憩いの場となっている。  春は桜が咲き誇り、秋は紅葉の名所となる。  櫓や石垣はそのままに、歴史を伝えている。  博物館、美術館といった文化的施設や、体育館、武道館や球場などの運動施設が並ぶ。  今も市民や観光客の足が絶えることがない。  400年の時を経てなお、その繁栄は揺らぐことがない……かのように見えていた。  だが、綻びは、少しずつ、生じていた。  誰にも気づかれることなく。
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