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「……全く今時の親と来たら!」  それは、猛暑と言ってよい、夏の日の夕方。  7月頭から始まる地区予選を控え、応援体制を整えるための父母会が開催されていた。  まだ夏の盛りには早いのに、日中にかなり温度が上がり、夕方になっても暑さは引かず、必然的に不快指数が高まってしまうであろう中で(一応クーラーはついていたが、効きが悪かった)。  さっきからブツブツ文句聞かされて、宝木(たからぎ)幸恵(さちえ)さんはますます不快感を強めていた。 「1年生の親は全員出席って、伝えて下さったのよね?」 「はい。お便りは出しました」 「あら、電話もして下さったんじゃないの?」 「一応は……ただ、連絡がつかないお宅もあって……」  あーあ、何で学年代表なんてなっちゃったんだろう?  心の中で嘆きつつ、幸恵さんは懸命に言葉を選んでいく。
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